2014年3月24日月曜日

〈講座告知〉レオナルド・ダ・ヴィンチの人体表現


 今週末3月29日(土)に、新宿朝日カルチャーセンターにて講座を致します。
タイトルにありますように、レオナルドの人体表現を、解剖手縞の素描を紐解きつつ見ていきます。
 万能の人レオナルドが残した解剖手縞の記録は、30代後半から60代はじめまで断続的に綴られました。その描写の品質は初期から既に非常に高度です。また、その描写の現代性から、現代の書店に売られている解剖書の図譜を連想するのですが、ルネサンスの時代にあのような解剖図は他に存在していません。つまり、レオナルドはほとんど独自にその表現方法を編み出したのです。解剖手縞の素描を見ると、レオナルドが言語に対する絵画の優位性を信じそれを実践すべく努力したことが伝わってきます。恐らく、出版も念頭にあったのでしょう。しかしそれは実現しなかったばかりか誰にも知られることなく時代に埋もれました。レオナルドの死後250年以上も経った18世紀の後半になってやっと医学者に発見され、その内容の包括的な研究は1970年代に入ってからと言われます。
 解剖手縞は17世紀からイギリスのウィンザー城王立図書館に所蔵されており、2012年に大規模な展覧会が開かれました。その図録の解説に目を通すと、解剖図の分析に誤りが散見されます。世界で最も有名な芸術家レオナルドの絵画作品はあらゆる角度で研究されているのでしょうが、解剖手縞となるとまだまだ分析の余地が多くありそうです。私たちはまだレオナルドの人体理解を把握してはいないのです。

 土曜日の講座では、解剖手縞の最初期の頭蓋骨から、アンギアーリの戦いに関連したもの、子宮と胎児、そして”100歳の老人”解剖所見からの素描まで時系列で見ていきます。
 また、関連する作品として若い頃の作品「聖ヒエロニムス」と最後の作品『洗礼者ヨハネ』も構造的視点から見てみます。

 解剖図は、眺めるというより読み取るという要素の強いものですから、前提知識なしでは少々取っつきにくいものです。レオナルド解剖図が気になっていた方、ただ眺めるだけではもったいないです。是非この機会にレオナルドが伝えたかった人体構造を読み解きましょう。

本講座は終了しました